慣習とカーテン in 「香林居」

石川県金沢市にある、かつて工芸品を扱うギャラリーであったビルをブティックホテルへと改装する計画。

遮光性能を持った布を室外側に配置し、フルハイトのカーテンとして窓へ帰属させ、室内側の透過度の高い布は天井から落とし、奥行き方向も開口部から距離を取ることで、こちらは窓の帰属から解放した。
元来の日本家屋のように、雨戸を閉め、障子を閉めて就寝するという、近年馴染みが薄くなっている慣習に倣って、外界との距離を取る行為を参照した。

室内側の布が天井から離れたことで、アーチ型の上部にハイサイドライトが生まれ、室を分節する仕切り布としても機能するようになり、朝日を浴びて起床する、簾を介して人と距離を取るといった、かつては当たり前だった身体感覚に改めて触れることができる。

新たな業態をインストールされた都市のビルに宿泊し、古くからの慣習に出会うことで、人々が日々の生活を見つめ直すきっかけになってくれればと思っている。

2021
所在地
石川県金沢市
種別
宿泊施設
担当
山本紀代彦、森永一有、村瀬唯、西垣佑哉
建築の設計
長坂純明(ひとともり)
企画・運営・プロデュース
龍崎翔子(L&Gグローバルビジネス)
写真
河田弘樹