暗室は輝いてる in 「青山の家」

住戸の南側では特に造成されていない自然林が広がっており、内部はその環境を引き込むかのように、仕切り壁のない奔放なワンルーム空間になっていて、東面からの強い朝日に備える、就寝するために整える、局所的な暗室計画である。
光を遮るための素材として、片面がアルミニウムの断熱材を短冊状に処理し、それを鳥が巣作りするような作法で密度を高めていく。
高密度の短冊が結集すれば巣の内側は暗室になり、朝目覚めて、カーテンを開け放つと、細切れの鏡面たちは自然林を倍音のように増長させる。
一見、環境に倣ってのプリティブな設え方のようにも見えるが、断熱材に取り囲まれて就寝するという行為自体は、現代においては至極あたり前のことである。

2022
所在地
奈良県奈良市
種別
住宅
担当
山本紀代彦、森永一有、西垣佑哉、松島優実、村瀬唯
住宅の設計
長坂純明(ひとともり)
写真
河田弘樹