12/12 unbeautiful end.

私たちの活動の一つの節目を迎えた。
現地調査のために会場に入ると特別な高揚感が生まれるかと思ったが、不思議と何も思わず、計画しようという行為がとても不自然なように思えた。
本展覧会では、この乖離自体を現そうということにした。
まず、カメラマンにお願いして会場の実像を精緻に撮影してもらい、1/1スケールに引き伸ばした状態でオーガンジーへプリントアウトした。
その後、出力された布を144mm幅で短冊状に細切れにし、実像の前に覆いかぶさるように3層重ねて配置することにした。
切り刻まれた虚像が風に揺れると、壁面が歪み、捻れが起きたりしている。
また、鏡に取り込まれたそれらは二次元に翻訳されたかのようで、とてもあやふやに見えた。
幕の高さは天井から距離を取り、柱なども手つかずの状態としたが、部分的に何もなされていない正しい像であるはずの箇所が、あたかも誤解答のような烙印を押されたかのようにも見えた。
行為としては手数が多く、暴悪にエントロピーだけが膨れ上がっていくが、この展示室内のスペック的なパラメータは何一つ変化が起きていないし、何より、この展示室の風景すら変化していない。
そう、これは何も起きていないし、何も起こせていない。
膨大な手数痕と美しくない終わりだけがそこにあった。

所在地:和歌山県和歌山市

会期:2022.2.22~2.28

担当:山本紀代彦・森永一有・西垣佑哉・松島優実・村瀬唯・千本木晴

構造アドバイス:海野敬亮(海野構造研究所)

施工:林雍浩・木村晃子(嵩倉建設)

写真:河田弘樹

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