追従する更新 in 1-1Architects office

古家を改修し事務所利用している設計事務所への計画。
縁側にあたる床には所有者たちが自身でタイルを敷き詰めて土間化しており、縁側でもあり屋外の延長でもあるような立ち振る舞いで、土間から事務所内へ切り替わる軸線には古い建具にポリカを貼って使用していた。
そこへ、屋外へ接続する既存サッシ前にサッシと同色に塗装したワイヤーを柱を横断するように設置し、欄間を新たに作るような高さとすることで既存サッシに従属させた。以前からそこにあったかのようなワイヤーに対して、ポリカが反復するようなプロポーションを与えた厚さ30mmの小波型のカーテンを吊り下げ、これをファサードとした。
等価関係のカーテンとポリカで土間を囲い込むことで、ヴォイド化が強調され、縁側のような屋外の延長のような、この名前が与えらていないような場所は名前のない状態のまま居室化され、所有者が調達してきた植物や調度品がオブジェクトと定義化されていく。
新設したワイヤーは真新しい色に塗り替える訳ではなく、既存サッシを焼き増したような色で増設しており、ファサードとしたカーテンも特別な素材ではなく、汎用性の高い布にプロポーションのみをポリカと同期させて、欄間も反復させていることから、どの備品がどの時代に更新したのか判別することができない。
改修する際に行うヒエラルキーのようなものを見直し、刷新するのではなく極力全て肯定していくように追従させることで、更新されていく時間軸をキャンセルすることを試みた。

所在地:愛知県刈谷市

担当:山本紀代彦・森永一有・西垣佑哉・松島優実・村瀬唯

古家の改修: 1-1Architects一級建築士事務所

写真:河田弘樹

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