シークエンスと布、それと光学 in RICOH-3L

東京都大田区にある実践型研究所内の小さな室への布。
敷地が本社と近接な距離であること、グループ所縁の地であること、付帯する体育館が開かれたイベントスペースとしても活用されること、3つの事象から、町のシークエンスと親和性を持つことを試みた。
体育館側への振る舞いは刺繍、積層、皺加工を用いて、東面の朝日をオブジェクトのように扱い、日毎に変化する風景を獲得しながら、ミーティングに没入できるような個室性を保持することにした。
また、屋外と正対する廊下側の布は、反射することで鏡のような効果を持つくらいの高輝度をそれぞれの布に与え、町の風景や体育館側の状景を施設内に引きずり込んだ。
館内に居ながら周辺の町を意識し、長年親しまれた体育館もキャビン内部に吸収することで、使用者が自分自身を意識し、他者とのコラボレートにもポジティブに取り組める環境になるようにと思っている。
また、それぞれの布への所作は、かねてから光学機器を扱う企業であることから、箔加工、金属膜スパッタリング、偏光布など、コーポレートアイデンティティを姿として現わすような形態とした。

所在地:東京都大田区

担当:山本紀代彦・森永一有・村瀬唯

建築の設計:田中裕之建築設計事務所(田中裕之・花塚紘紀・藤城太一)

写真:河田弘樹

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